京大生の落書きノート【元:京大情報工への軌跡】

元受験生。今は学生生活の中で考えたことを色々。今は京都大学情報学科でお勉強しています、

受験数学との向き合い方



花宮です
先日ツイキャスで来てくれた人達と数学について色々話してたんですが、僕の考えを上手く説明できなかったので、この場を使って説明しようと思います


※注意
僕は数強ではないですし、「俺は数学ができるから真似しろよw」みたいなのではないです
あくまで、僕はこう考えてる、というのを紹介するだけです


 1.「数学の問題を解く」とは?

数学の問題の大部分は以下の構造になってます

 

与えられた条件A

↓言い換え

A'

A''

求める条件A''' 

 

例えば
x²+2ax+1=0が実数解を持つ

(判別式)≧0

a²-4≧0

a≦-2 または 2≦a
といった具合です
最終的に作る条件はこの問題のように数値であったり、あるいは命題だったりします


最後が命題の例としては
「〜のとき、△ABCは正三角形であることを示せ」
与条件

・・・

AB=BC=CA

△ABCは正三角形

などがあります

 

結局、問題を解くときに考えるのは

①スタートとゴールは何か?

②スタートとゴールを繋げるにはどうすればいい?

 

という2点になるということです
(スタートとは与条件のこと、ゴールとは求める値や示すべき命題のこと)

 

 

2.スタートとゴールの把握

すべての始まりなので一番重要なのですが、どうにもあんまり意識してない人が多い気がします


・与式をなんとなく変形したけど結局何やってるかよくわからなくなった
・問題の与条件を1つ忘れてて泥沼にはまった
こういう経験ありませんか?


これはスタートとゴールを明確に把握できていない事、また後述する「モチベーション」を意識できてないことが原因です
必ずスタートとゴールは余白にメモして、明確に意識するようにしましょう 

 

 

3.スタートとゴールの繋げ方

僕の繋げ方は以下です

 

状況を整理し、
条件を 日本語、数式、図の3面から捉え、
一本ずつ矢印を繋いでいく

 

なぜ日本語、数式、図の3つの捉え方が必要なのでしょうか?

それは各々に以下のような特徴があるからです

 

・日本語

一番扱い慣れてる

しかし数式より情報量が少なく、文脈により意味が揺れてしまう

 

・数式

条件を簡潔に表現できて、情報量も多い

しかし扱うのが本当に難しい

 

・図

状況が視覚的に分かり、数式より扱いやすい

しかし情報量が数式より少なかったり、図にしにくい条件があったりする

 

数学を記述する上では数式が絶対的に最強なのですが、どうにも扱いにくいので、必ず日本語と図でサポートしながら進めていく、というわけです

 

ここまで聞いても「?」といったところでしょうから実演しましょう

 

4.実演


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東北大学2015文系

 

①まずはゴールとスタートを明確に
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②次にゴールとスタートを繋ぎます
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③ある程度方針が立ったので、最後に解答の見通しを立てます
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④解答作成へ

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【ポイント】

矢印の繋げ方

ゴールから

「〜〜が欲しい」←そのためには←「〜が欲しい」

と繋げていく

この「〜〜が欲しい」というキモチを、思考の動機、つまり「モチベーション」と僕は呼んでいます

モチベーションがハッキリすれば何をすれば良いかは自ずと決まり、次の矢印へと繋がるわけです

 

この問題は易しいので日本語だけで上手く矢印を繋げれましたが、難問になってくると日本語、数式、図を反復横跳びしながら一歩ずつ進めていく必要があります

反響があれば、日本語と数式と図の反復横跳びが要求される問題の記事もいずれ書きましょう

 

 

定義はなぜ大事なのか

賢い人はよく「定義が大事!!」と言っていますね

その理由はなんでしょうか?

僕の立場では「矢印の一歩目になるから」です

 

この問題では

「ゴールは確率を求めること」

→「確率を求めるには何が必要だっけ?」

→「確率の定義を思い出そう」

という流れから、確率の定義が最初の一歩となりました

定義が疎かだと、この一歩目から危うくなってしまいます

だから僕は定義を大事にしろ!というのです

 

 

2番

 


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同様に、スタートとゴールを明確にし、これを解決するために欲しい事を整理していきます

【ポイント】

解法の発想

状況を整理すると結局

αβ=1からpの条件を出して、pのパターン数を数えれば良さそうだと分かります

 

αβ=1という特徴的な式から、解と係数の関係を連想するのは簡単でしょうが、普段の学習ではあくまで、解αβと係数pを繋ぐ式が欲しいというモチベーションを大事にしたいです

 

問題を読んだときに直感的に、この解法が使えそうだ…!と反応できる能力も入試には必要ですが、それは少しセンスもいりますし何より経験が物を言ったりもします

モチベーションに基づく解法の発想の場合、時間はかかりますが飛躍が少ないので安定性、再現性に優れています

普段はモチベーションを意識して学習を進め、数をこなしていくうちに

「こういう問題は解法aと解法bと解法cが使えそうだな」

という天下り的な発想も身に付け、そこから

「問題を整理したところ、○○が欲しくて、そのためにはaが一番使いやすそうだな」

と組み合わせることで、素早く・再現性の高い数学力が育成できると思います

 

僕は今この天下り的な発想を整理しているまっさなかです

 

確率の必殺技

確率の基本はとてもシンプルです

 

全てのパターンと条件を満たすパターンを、全て書き出して数えればいいだけです

 

確率が難しくなるのは

・一つ一つのパターンが等確率でないといけない(同様に確からしい、というやつ)

・書き出すには多すぎる

 

せいです

書き出すのが大変なので、同じものを含む順列やら円順列やらの解法を習得する必要があるわけです

全ては「パターン数を数えたい」というモチベーションに基づいてることを意識すれば見通しも良くなるかと思います

 

今回は数える手段として、樹形図を選びました

パターン数が多くなければ樹形図は最強です

100通りくらいまでなら樹形図でゴリ押しも十分選択肢に入ります

 

 

総括

言いたいことが散らかってしまった感じがするのでまとめておきます

 

・全てはスタートとゴールを明確にすることから始まる

・状況を日本語、数式、図の3つを反復横跳びしながら整理せよ

・整理した状況から、〇〇が欲しい!というモチベーションを見出し、解法を発想する

 

以上3点が伝えたかったことになります

やってみればわかりますがめちゃくちゃ時間がかかります

僕が模試を解く際には、直感的に解法が発想できる問題は直感に頼り、そうでない問題にでくわしたらこの方法を用いてじっくりと解決にあたる、という感じでやってます

 

しかし直感的な発想も、今まで何回もこの方法を用いて発想してきたからこそ、道中をショートカットして発想できるようになったのだということを意識すべきです

 

結局、普段は全ての問題に対してこの方法を用い、段々慣れてきたら直感とのバランスを取っていく、というのがいいかと思います

 

 

なにも僕のやり方を全て真似しろなんて言うつもりはありません

これが合わない人もいれば、できない人もいると思います

とはいえ何かしら得るものは提供できたとは思うので、何かの役に立ててくださると嬉しいです

ここまで読んでくださりありがとうございました!

一緒に受かりましょう!!